庭猫 

(4)マント嬢 ⑤呼び名は マントさま

(4)マント嬢 ⑤呼び名は マントさま 猫に呼び名をつけようと話し合った。 いつまでも、「ねこさん」じゃあ、ちょっとね。 堂々とした様子は、おれさま風だったから、 「男の子に違いない!」 わたしたち家族三人の意見は一致した。 真っ白な胸もと...
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(4)マント嬢 ④午後2時に

(4)マント嬢 ④午後2時に 約束の日は日曜日だった。 「来ますかねぇ・・」 朝から、夫はニヤニヤ笑ってばかりいる。 そして、ときおり、 「いや、来たら、たいしたもんだよ。 もう、そんなことになったら、猫にひれ伏すよ。 でもさ、考えてみてよ...
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(4)マント嬢 ③賭け

(4)マント嬢 ③賭け 「明日の2時ごろ、猫が遊びに来ます!」 夕飯を食べながら、家族に告げた。 (夕餉のメニューはドライカレーだったのね) 「どういうこと?」 娘と夫が聞き返した。 「今日、約束したのよ」 わたしは、昼過ぎに出会った賢い縞...
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(4)マント嬢 ②お誘い

(4)マント嬢 ②お誘い 「あのぉ、・・ねこさん」 猫は歩く姿のままで、ピタリと足を止め、 顔だけふり向いて、ニャ、といった。。 そして、初めてわたしの顔を見上げた。 『なにか?』 といってそうなまなざしだ。 なんて、きれいな猫なの! 江戸...
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(4)マント嬢 ①出会い (1993年 夏)

(4)マント嬢 ①出会い (1993年 夏) 近所に買い物に行った。 その帰りの出来事。 歩道の真ん中を、長いしっぽを左右にふりながら、 胸を張って堂々と歩いてくる猫がいる。 白とダークグレーの美しい縞猫だ。 大きなグリーンの眼には、アイラ...
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(3)ぞうきん猫 ⑦強く潔い母の姿

(3)ぞうきん猫 ⑦強く潔い母の姿 ・・夕方、嘘のように陽が差し始めた。 荒れ狂っていた台風が過ぎ去ったのだ! その夕日を背にうけて、ぞうきん猫がきちんと濡れ縁にお座りしていた。 ぞうきん猫の前には、グレーのねずみが横たわっている。 しっぽ...
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(3)ぞうきん猫 ⑥子猫を育てるということ

(3)ぞうきん猫 ⑥子猫を育てるということ 子猫たちはときおり、一匹ずつ濡れ縁の下に降りていく。 ぞうきん猫が首をくわえて連れていくのだ。 なんのために下に連れていくのかと思っていたが、そのうち分かった。 サンルームの角から濡れ縁の下が見え...
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(3)ぞうきん猫 ⑤台風の中の避難 (1993年 夏)  

(3)ぞうきん猫 ⑤台風の中の避難 (1993年 夏) 八月も末の土曜日。大きな台風が関東を襲った。 この年は梅雨明けも遅く、天候は不順だった。 和室前の濡れ縁には、頑丈な段ボール箱が置いてあった。 その中に庭仕事用の植木ばさみや重いスチー...
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(3)ぞうきん猫 ④初めての子ども (1991年 秋)

(3)ぞうきん猫 ④初めての子ども (1991年 秋) ある日のこと。 どこかで子猫の声がした。どこだろう?・・かすかな声だ。 濡れ縁の下から聞こえてくる。のぞくと、いた! 白とチャコールグレーの縞模様の子猫が一匹。 そばには、ぞうきん猫が...
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(3)ぞうきん猫 ③幼さの残るころ (1991年 早春)

(3)ぞうきん猫 ③幼さの残るころ (1991年 早春) ぞうきん猫は、掃除機をかけているわたしを、 濡れ縁の隅に陣取って、観察していることがあった。 「黒ずきんちゃん!」 呼んでも、反応しなかったが、ぞうきん猫よりは、 グリムやペローの「...