庭猫 

(3)ぞうきん猫 ⑦強く潔い母の姿

(3)ぞうきん猫 ⑦強く潔い母の姿 ・・夕方、嘘のように陽が差し始めた。 荒れ狂っていた台風が過ぎ去ったのだ! その夕日を背にうけて、ぞうきん猫がきちんと濡れ縁にお座りしていた。 ぞうきん猫の前には、グレーのねずみが横たわっている。 しっぽ...
庭猫 

(3)ぞうきん猫 ⑥子猫を育てるということ

(3)ぞうきん猫 ⑥子猫を育てるということ 子猫たちはときおり、一匹ずつ濡れ縁の下に降りていく。 ぞうきん猫が首をくわえて連れていくのだ。 なんのために下に連れていくのかと思っていたが、そのうち分かった。 サンルームの角から濡れ縁の下が見え...
庭猫 

(3)ぞうきん猫 ⑤台風の中の避難 (1993年 夏)  

(3)ぞうきん猫 ⑤台風の中の避難 (1993年 夏) 八月も末の土曜日。大きな台風が関東を襲った。 この年は梅雨明けも遅く、天候は不順だった。 和室前の濡れ縁には、頑丈な段ボール箱が置いてあった。 その中に庭仕事用の植木ばさみや重いスチー...
庭猫 

(3)ぞうきん猫 ④初めての子ども (1991年 秋)

(3)ぞうきん猫 ④初めての子ども (1991年 秋) ある日のこと。 どこかで子猫の声がした。どこだろう?・・かすかな声だ。 濡れ縁の下から聞こえてくる。のぞくと、いた! 白とチャコールグレーの縞模様の子猫が一匹。 そばには、ぞうきん猫が...
庭猫 

(3)ぞうきん猫 ③幼さの残るころ (1991年 早春)

(3)ぞうきん猫 ③幼さの残るころ (1991年 早春) ぞうきん猫は、掃除機をかけているわたしを、 濡れ縁の隅に陣取って、観察していることがあった。 「黒ずきんちゃん!」 呼んでも、反応しなかったが、ぞうきん猫よりは、 グリムやペローの「...
庭猫 

(3)ぞうきん猫 ②その名は ぞうきん猫

(3)ぞうきん猫 ②その名は ぞうきん猫 ぞうきん猫、とはまたなんという名前だろう。 どんな名で呼ぼうかと、たとえばシェリとかココとか、 しゃれた名前で呼んでみても、その黒猫はそっぽをむいた。 「しかし、モップのようだね。 ・・まさか、ぞう...
庭猫 

(3)ぞうきん猫(にゃんこちゃんの最初の娘) ①名前がついた (1990年 秋)

(3)ぞうきん猫(にゃんこちゃんの最初の娘) ①名前がついた (1990年 秋) 茶トラにゃんこちゃんの最初の子猫たちは、二匹だった。 黒いずんぐりした長毛猫と、すらりとした白茶まだら猫。 ある日気づいたら、わたしの庭をテリトリーとして暮ら...
地域猫

(2)ゴットマザーは 茶トラ猫   (1990年)

(2)ゴットマザーは 茶トラ猫   (1990年) ちいさな茶トラだった。 その猫が、わたしの知る猫たちの祖となろうとは。 深海のような濃緑色の大きな眼をしていた。 顔中目だらけ、といった感じで、イメージとしては少女漫画の主人公のよう。 い...
未分類

(1)はじめに

 わたしの庭に来た猫たちのことをお話します。いまから30年以上もさかのぼりますので、写真のない猫たちもいます。当時は携帯電話もない時代で、猫を撮影するためにカメラを取りに家に戻ると、もう庭から猫の姿は消えていました。運よく庭に残っていても、ピントを合わせている間に、逃げていくしまつでした。でも、カメラに頼ることができなかったからでしょうか。わたしの記憶の中には、庭に訪れた猫たちが、今も鮮やかに残っています。それぞれの鳴き声や性格、まなざし、模様、陽ざしに光る毛並みなども。
飼い猫

大吉

初代飼い猫(庭猫から昇格)