飼い猫

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⚫最終章Ⅱ ⑦終わりに

⚫最終章Ⅱ ⑦終わりに私たちの猫だった大吉を忘れはしない。忘れないどころか、その存在は日に日に大きくなって、家の中のお気に入りだった所などは、もはや聖地のようでさえある。他所の人の目には、大吉はどうということのない猫だったろう。けれども、私...
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⚫最終章Ⅱ ⑥手形

⚫最終章Ⅱ ⑥手形大吉を見送ったセレモニーホールは、規模の小さいところだったけれども、家族として生きた動物たちに、あたたかい心遣いをしてくれるところだった。大吉を火葬をする前のこと。係の人が、スタンプ台を手にやってきて、「足形を残しましょう...
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⚫最終章Ⅱ ⑤おきみやげ

⚫最終章Ⅱ ⑤おきみやげ大吉が逝ってどんなに過ぎても大吉のいない日々に慣れることなどない心の中にはぽっかりとした空虚な穴があきどおしそんな日ふとしたところに大吉からのおきみやげ・・白く弧を描く三本のヒゲが・・
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⚫最終章Ⅱ ④名前

⚫最終章Ⅱ ④名前大吉大ちゃんだっこちゃんダコポンデコリンデコッチデコちゃんデコ・・どの名前で呼んでも、お返事した大吉。あ~ん とかにゃ~ん とかにゃ とかん~ とかダとデは自分のことだと思っていたみたい。⚘~~⚘~~⚘~~⚘天使のようにち...
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⚫最終章Ⅱ ③み仏の住む

⚫最終章Ⅱ ③み仏の住むポッカリ空いた眼窩にはかつては美しいエメラルドグリーンの瞳がもの問いたげにもの言いたげにじっと私をみつめていたものだった⚘~~⚘~~⚘~~⚘セレモニーホールの職員は、足の骨から順々に、ひとつずつていねいにダイキチザウ...
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⚫最終章Ⅱ ②お葬式

⚫最終章Ⅱ ②お葬式・8月12日・午後4時からセレモニー・火葬この日は休日ではないので、私だけで大吉を見送ることになっていた。ところが、昼早くに夫が帰宅。大吉のことを知った他の歯科医やスタッフたちが、この日の夫の患者さんをみんなで受け持つか...
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⚫最終章Ⅱ ①花に埋もれる

⚫最終章Ⅱ  ①花に埋もれる8月11日お棺と決めた箱に、パールピンクの美しい和紙を貼った。中に大吉愛用のベッドを入れて、大吉を横たえた。ありったけの氷。ありったけの保冷剤。痛々しいまでの小さな なきがら。保冷剤はさぞ冷たいだろう・・膿でつぶ...
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⚫最終章 ⑪永の訣れ

⚫最終章 ⑪永の訣れ8月10日・朝6時トイレの中でうずくまっていた。トイレに起きて、そのまま動けなくなったようだ。・午後3時頃グエグエとうめくように苦しむ。そっとさする。それだけしかできない。・午後6時頃浅く早い呼吸。今夜が・・峠かもしれな...
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⚫最終章 ⑩満身創痍

⚫最終章 ⑩満身創痍体重はほぼ半分の4・2㎏。昨日までは、耳のマッサージをすると、気もちよさそうにしていたのに、今日はいやがるそぶり。よく見ると、左耳の後ろ側が黒っぽい。大吉は、ケンカ大好きのやんちゃ猫には似合わず、耳の後ろや鼻や肉球がピン...
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⚫最終章 ⑨タイルにうずくまる

⚫最終章 ⑨タイルにうずくまる・8月5日右目は、赤い膿のようなものが流れて、眼を開かずに閉じたまま。左目尻がくぼんで、眼の大きさが半分になっている。お風呂のタイルにうずくまって動かない。ほどよくヒンヤリするのが良いらしい。硬いタイルはつらか...