飼い猫

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⚫最終章 ⑧夜の脱走

⚫最終章 ⑧夜の脱走・8月3日照りつける陽ざしの中、ひと月ぶりに、30分だけ庭に出る。草や土の匂いを嗅いでいたが、ふいに物置の上へ大ジャンプ!ふらふらの体で・・そんなにも外に出たかったのか・・今夜、一緒に散歩しようと決めた。夜 8時。散歩の...
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⚫最終章 ⑦ひろがる病巣

⚫最終章 ⑦ひろがる病巣下あごが黒くなっている。どうしたらよいだろう。楽に過ごせるようにしてあげたい。・8月1日午前6時30分生鱈の水煮を40g。元気そうに見える。臭いも、あまりしない。よほど気分が良いのか、口まわりを拭かせてくれる。この日...
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⚫最終章 ⑥宣告を受ける

⚫最終章 ⑥宣告を受ける・7月28日午前2時 座薬少し楽になったらしく、私のベッドで一緒に眠る。午後、動物病院へ猫インターフェロン 3回目点滴(痛み止め、胃薬、抗生剤)体重5・34㎏すっかり痩せてしまった。どんな薬よりも、解熱のための座薬が...
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⚫最終章 ⑤種はちがえども

⚫最終章 ⑤種はちがえども買い物帰りの私のあとを、二羽のカラスが付いてくる。屋根伝いに ピョンピョンと。そして鳴きかわす。カーオ クワァクワァクワァクワーォ グルルーカウ複雑な鳴き方だ。何かを問うているようで、思わず足を止めた。きっと、大吉...
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⚫最終章 ④病む日々

⚫最終章 ④病む日々大吉の体内では、恐ろしい菌が暴れまくっている。耐えきれぬ痛みだろうに、わずかに顎をあげ、じっと目を閉じている。唾液が糸を引き、口もとを流れる。そっとぬぐってあげると、うすく眼を開けて、困ったような顔をする。伊達男を気取っ...
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⚫最終章 ③最悪の症状

⚫最終章③最悪の症状猫の白血球数の正常値は、5000/µℓ~19500/µℓである。大吉の白血球は1700/µℓだった。正常値の下限をはるかに下回っていた。この数値の低さは、免疫機能が正常にはたらかず感染症に罹りやすい、ということを意味する...
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⚫最終章 ②不気味なサイン

⚫最終章 ②不気味なサイン暑がりの大吉は、毎年、夏になると抱っこを嫌がる。蒸し暑い夜。珍しいことに、私にピタッと寄り添った。久しぶりのことなので、嬉しくてシャッターを切った。なんとまあ、おめでたいバカ者か!この私は!のぞきみた大吉の横顔には...
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⚫最終章 ①奇妙な傷 (2013年 6月)

⚫最終章 ①奇妙な傷 (2013年 6月)少し前から、見かけない茶トラの若猫が、町をのし歩きだしていた。そればかりか、我が家の生垣の前あたりで、しきりに鳴いては、存在をアピールする。大吉は、イライラしはじめたものの、腕まくりして飛び出す気配...
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⚫最終章

⚫最終章2013年8月12日 午後4時「大吉くんの好きだった食べ物を、この器にお入れください」葬儀社の係の人がいった。そして、小さな前足に墨を塗って、足形をとってくれた。花に埋もれて、冷たくなった大吉が横たわる。お坊さんの読経が静かに流れる...
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(Ⅻ)にゃんこ亭の猫たち ⑨きげんの悪い日

(Ⅻ)にゃんこ亭の猫たち ⑨きげんの悪い日大吉に知らせることなく、買い物などに出かけた時がある。ぐっすりと眠りこんでいたから。でも、大吉にとって、知らぬ間に居なくなるということは、無作法この上ないものらしい。「ただいまー」おみやげを持って帰...